Radfahrers Nachtlied

ドイツの自転車競技選手・アンドレアス・クレーデンを中心とした自転車ロードレースと、極々たま~にクラシック音楽やその他のテーマに関する雑文

2014年のロードレース (2/25 一部追記あり)

さて、今年のロードレースはツアー・ダウン・アンダーが既に終了している訳ですが、私にはどうもあれは番外編のようなイメージがあります…。私にとってはやはり2月になって地中海一周が行われるあたりからがロードレースシーズンですかね…
シクロクロスの世界選まではシクロクロスのシーズンというイメージです。

我らが偉大なるクレーディは引退してしまいましたが、今後も勿論ロードレースはネットやテレビ中継で観戦する予定です。現時点で最も好きなスポーツであることに変わりはありません。
先程もブエルタ・ア・アンダルシアの頂上ゴールの第二区をネット観戦したのですが、やはりロードレースはいいですね〜
今年はツール・ド・ロマンディとGPケベック、GPモンレアルもJsportsで生中継があるそうで、今から楽しみです。(特にロマンディ!カナダのレースは時間が時間でしょうからリアルタイムで観られるかどうかは微妙…)

誰に注目していくか、そして誰を応援することになるかはレースを観て行くうちに自然に決まるでしょう…

とりあえずドイツ人スプリンター達には注目していますし、オールラウンダーではフルームやウィギンスなど英国系も気になります…

ただ、我らがクレーディとブエルタの覇者ホーナーを首にしたトレック・ファクトリー・レーシングは今のところ応援する気にはなれませんね…

佐村河内 守の作曲とされていた交響曲について (2月7日追記・再追記あり)

佐村河内 守の(作曲とされていた)交響曲第1番が2010年に東京初演(?確か関東地方での初演だったと思います)された時、おそらく「佐村河内 守」という名前だけでは客の入りが不安だったせいか、最初にモーツァルト交響曲第41番「ユーピテル」をやり、その後で「佐村河内 守」作曲の交響曲第1番を第2楽章はカットして第1、第3楽章だけが演奏されました。
これはかつてブルックナーの8番が1958年にカラヤン/ヴィーン・フィルの来日公演で演奏された際(一説にはこれが同曲の日本初演だったそうです)、当時は日本人には無名だった「ブルックナー」とやらでけでは客の入りが心配だという理由で前座(?)としてモーツァルトの小夜曲が演奏されたのと似ていますね。

それ以前に佐村河内氏の自伝「交響曲第一番 闇の中の小さな光」は初版が発売されていたと思いますが、私は読んではいませんでした。未だ読んでません。今後読もうとも思わないでしょう。ランスの「ただマイヨ・ジョーヌのためでなく」と全く同類の本になってしまいました。
私がこの東京初演を聴きに行こうと思ったのは、2008年の広島での日本初演について、一部のネット上で大絶賛され話題になっていたためです。佐村河内氏が中途失聴で全聾であるといった情報はネットで伝わってきましたが、それについては「お気の毒だなぁ」とは思ったものの、そんなことは関係なく、ただ素晴らしいと評判の音楽が聴いてみたかったためにチケットを買って池袋に出掛けたのです。

そして、そこで演奏された交響曲は、かつて当ブログでも取り上げたことのあるエゴン・ヴェレスの第1交響曲にも良く似た、重苦しく厳粛で真摯な後期ロマン派の進化形ともいえる素晴らしい音楽で、しかもヴェレスの1番を2倍以上に拡大したような大作だったのです。

演奏終了後に杖をついて舞台に登場した佐村河内氏に、私は心からの拍手を送りました。それは、ただ純粋にこの日演奏された交響曲が素晴らしかったからであり、中途失聴とか全聾とかは全く関係ありませんでした。
ランス・アームストロングに圧倒されたのも、癌を克服して自転車競技に復帰した、ということよりも、旧東独の科学が生み出した(???)超人ヤンや我らがクレーディを捻り潰す魔神のような強さに畏怖したからです。

その後、「佐村河内 守の」交響曲第1番のCDが発売されて大いに売り上げを伸ばしましたが、私は何故か買う気が起きなかったのです。「耳が聞こえないのに作曲をするベートーヴェンの再来」みたいな売り出し方が何だか胡散臭かったからかもしれません。

さて、5日の「報道ステーション」でも「ニュース23」でも、コメンテーターが「最初から『合作』とか『共同制作』と言っていればこのような問題にはならなかったのでは」などと言っていましたが、クラシック音楽のことを全く解っていない発言だと思います。
ラフマニノフの『パガニーニの主題による狂詩曲』はラフマニノフの作品なのであって、通常、パガニーニラフマニノフの「合作」であるとは看做されません。レーガーの『モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ』も、レーガーの作品であってモーツァルトとレーガーの合作とはされません。
報道ステーション」で流された映像に出てくる一枚のペラ紙に書かれた図形楽譜モドキから、あの長大な大編成の膨大な総譜が書かれたのだとすれば、それは『パガニーニの主題による狂詩曲』がパガニーニでなくラフマニノフの作品である以上に、『モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ』がモーツァルトでなくレーガー作品である遥かに以上に、あの交響曲佐村河内守の作品ではなく新垣隆の作品であると言って良いものです。

今後もしあの交響曲のCDが「佐村河内 守の」交響曲第1番ではなく、新垣隆交響曲第1番として発売されるなら、私は間違いなく購入するでしょう。
願わくば、新垣隆氏が今後あのような長大感動巨編の交響曲をあと8曲は書いてくれることを期待しています。(wikipediaの「佐村河内守」の現時点での版には「《交響曲第3番》2007年当時制作中」とあるので、これは新垣隆氏が既に3番を作曲中と考えて良いのかもしれません。)
もっとも、ゴーストライターだったからこそ、あのような時代錯誤的大交響曲を書いたのであって、新垣氏自身はもっと「現代音楽」的なものが書きたいのかもしれませんね…

(2月7日追記)
「この交響曲を絶賛していた人達はどう釈明するつもりだ」とかいう意見も出ているようですが、頓珍漢な意見だと思います。「ゴーストライターによって書かれた」ということと「作品の質」とは全く関係がないからです。
週刊誌によれば、新垣氏には「あの程度の楽曲だったら、現代音楽の勉強をしている者なら誰でもできる、どうせ売れるわけはない」という思いがあったそうですが、これも別に「手を抜いて適当に書きました」ということを表明している訳ではありません。(←これ、Wikipediaを鵜呑みにして書いちゃったんですが、実際に週刊誌読んだら、「あの程度の楽曲だったら、現代音楽の勉強をしている者なら誰でもできる、どうせ売れるわけはない」という発言は交響曲についてではなくゴーストライターを依頼され始めた頃の映画やゲームの音楽についての発言であるように読めます。原典に当らずネットの情報を鵜呑みにする危険性を再認識しました…反省。 このカッコ内再追記分です。)

ただ、新垣氏が書きたいのはやはり「現代音楽」のようで、今後、時代錯誤的交響曲が量産される可能性はなさそうですね…。

なんか勘違いしてませんか?

【注意喚起】道路交通法改正! 12月1日より自転車の逆走は法律で禁止に / 違反には5万円以下の罰金も(ロケットニュース24)

あのですね、自転車の逆走は以前から道交法違反で禁止です。今回の法改正は、いままで唯一例外的に逆走が認められていた「路側帯」に関しても逆走を認めなくしました、というだけのお話。

路側帯とは、「歩行者の通行の用に供し、又は車道の効用を保つため、歩道の設けられていない道路又は道路の歩道の設けられていない側の路端寄りに設けられた帯状の道路の部分で、道路標示によつて区画されたものをいう。」(道路交通法第2条3の4)
このうち「道路標示によつて区画されたもの」の「道路標示」とは、具体的には道路上に引かれた白線を差します。

つまり、「道路の脇に白線が引かれていない場合」や、「白線が引かれていても歩道と車道の区別がある道路の車道だった場合」は「路側帯」ではなく只の「路肩」ですから、2013年11月30日以前から自転車の右側通行は法的に認められていません。

にもかかわらず世間一般の反応は今年の12月1日から突然「自転車の右側通行」自体が禁止になった、かのような頓珍漢なもので、テレビのニュースなども私が目にしたものは基本的にはそんな雰囲気の報道でした。
迷惑極まりない逆走を警察が放置、黙認してきたお陰で、国民一般の間に「自転車の右側通行は違法である」と言う意識がほとんど無いとこがよく判ります。

以前私が車道の左端を自転車で走っていたとき、前からママチャリの中年女性が逆走して接近してきたので、自分から停車して左側を譲らない、という、ある本などで推奨されている方法を採ったのですが、あろうことか逆走ママチャリの方も停車して右側を譲らず、自分が法律に違反しているという意識と後ろめたさの全くないばかりか、相手に譲る自分の心の広さに自ら酔いしれているかのような満面の笑みを浮かべて「どうぞ先に行って下さい」と言われました。私が対抗して「いえ、どうぞ行って下さい」というと、全く申し訳ない等とは思っていないことがよく判る優雅な口調で「そうですか。申し訳ありませんね」と言いながら私の右側を走り去って行きました。
しかし、悪いのはこの中年女性ではなく、逆走を黙認してきた警察です。

警察には今後迷惑極まりない逆走自転車をガンガン取り締まってほしいのですが、現実的にはキャンペーンをやるのは今月中くらいなんじゃないでしょうかねぇ。年が明ける頃には今まで通り逆走は放置・容認されまくるのではないかと思いますよ…

引退…

うーむ、遂に来るべき時が来てしまったようです。我らがクレーディ、引退との報道が流れていますね…

一向に新チームの情報が出てこないので心配していましたが、ブエルタを制覇したホーナーでさえまだ来期のチームが決まっていない状況ですから、仕方ないかもしれません。
ディ・ルーカの件やマントヴァ裁判などもあり、バイオロジカルパスポート導入以前の「ドーピングが常識だった時代」に活躍していた選手は契約を疎まれる傾向もあったのかもしれませんね。ましてやクレーディには灰色のまま残された2006年のフライブルク大学における血液ドーピング疑惑、いわゆる「ライン・コンヴォイ」疑惑もあります。
個人的には、カテゴリーの下の小さなチームででも走り続けてほしかったのですが…とはいえ、今シーズン後半の走りにはやはり、はっきりと衰えが感じられました。引退のタイミングとしてはいい所かもしれません…
(´・ω・`)

グランツール制覇という栄光を手に入れそうな41歳と、静かに表舞台から去り行くかもしれない(?)38歳

…その二人が過去に戯れた記録


うーむ、なかなか楽しそう(?)です。二人とも、来期のチームが早く決まるといいですね。もっとも、ホーナーはブエルタを制覇すれば(もう決まったようなものですが)、仮にトレックとの契約が決まらなくても、好条件を提示してくるチームは少なくないと思います…。

ポイント賞はスプリント賞に非ず

今年のブエルタも酣、第11区の個人TTを経て、マイヨ・ロホは再びニバリの下に戻りました。とはいえ総合上位4人のタイム差はまだ1分以内、今後もどうなるかまだ分かりませんね。

さて、ジロやブエルタに対するネット上の反応を見ていて少々気になることがあります。
いわゆる「ポイント賞」は、イタリア語では"Classifica a punti"、スペイン語で"Clasificación general individual por puntos"な訳ですが、どちらの言葉にしても「ポイント賞」という意味はあっても「スプリント賞」という意味合いはありません。
確かに、グランツールの中で最も有名な大会であるツール・ド・フランスにおいては、ゴール地点のポイントを平坦ステージで高くし山岳ステージで低くすることにより、ポイント賞をスプリンターのための賞にしていますが、それはツール・ド・フランス主催者の思想によるもの。
ジロ、ブエルタにおいては、平坦ステージも山岳ステージもゴール地点のポイントを同じにしていることから解るように、(総合賞が「到着『時間』の合計による賞」であるのに対して)「ポイント賞」にはあくまで「到着『順位』によって配分される得点の合計による賞」という意味合いしか存在せず、「ポイント賞」=「スプリント賞」という意図は最初から無いのです。(もちろん、今後ジロやブエルタがツール同様に平坦ステージのポイントを高くして「ポイント賞」をスプリンターのための賞にしてしまう可能性もない訳ではありませんが…)

にもかかわらず、あらゆるレースにおいて「ポイント賞」=「スプリント賞」なのだ、との偏見を持った人は、「何故ジロは厳しい上り坂の途中に『スプリントポイント』があるのか?」とか、「何故ブエルタでは『スプリント賞』の上位にスプリンターがいないのか?」という頓珍漢な疑問を発して、挙げ句には
「さすがイタリアンクオリティーww」
「さすがスペインクオリティーwwwプギャー」
等と言い出す訳です。

このような、偏見による自らの認識の歪みから生じた誤解を他者のせいにするような言動は慎まなければなりません。自分も気をつけなければ、とつくづく思う今宵なのでありました…。

マルティン対ザブリスキー

ブエルタ第6区、スタート直後から単騎逃げを試みたマルティンはゴール前数十メートルで飲み込まれてしまいましたが、その走りは実に見事なものでしたね。
でもって思い出したのが、かつてザブリスキーがやはりブエルタでスタート直後から単騎逃げを試み、最後まで逃げ切ってしまったことです。
表彰台で笑顔を一切振りまくことなく、ひたすら疲れ切っていて今にも眠り込みそうなザブリスキーが印象的でした…。

昨日のステージのゴール後、解説の飯島兄貴が「単純に観ても平均40km/hを超えていますね〜」と言っていたので、ほぼ一人で走り切ったといえるこの2つの区間の平均速度を比較してみました。

ザブリスキー(2004年ブエルタ第11区)
距離:165.8km
時間:4時間05分31秒
平均速度:40.5186342km/h

マルティン(2013年ブエルタ第6区)
距離:175km
時間:3時間54分15秒
平均速度:44.8239061km/h

マルティンの方が距離が若干長いのに平均速度が4キロ以上速いのですが、まあ、そもそも風向、気温などの気象条件や獲得標高などのコース条件が違うものを比較するのは無意味ですよね…。
ザブリスキーのときのコースプロフィールを見ると全体に緩い登り基調なので、なおのことザブリスキーには不利な条件だといえます。

ちなみに、このときのザブリスキーUSポスタルに所属しており、USADAによってザブリスキーの2003年5月13日〜2006年7月31日の成績は剥奪されているので、あくまで幻の記録ということになります。
というわけで、いよいよまとめようのなくなったこの話はこのへんで終了…。