Radfahrers Nachtlied

ドイツの自転車競技選手・アンドレアス・クレーデンを中心とした自転車ロードレースと、極々たま~にクラシック音楽やその他のテーマに関する雑文

ポイント賞はスプリント賞に非ず

今年のブエルタも酣、第11区の個人TTを経て、マイヨ・ロホは再びニバリの下に戻りました。とはいえ総合上位4人のタイム差はまだ1分以内、今後もどうなるかまだ分かりませんね。

さて、ジロやブエルタに対するネット上の反応を見ていて少々気になることがあります。
いわゆる「ポイント賞」は、イタリア語では"Classifica a punti"、スペイン語で"Clasificación general individual por puntos"な訳ですが、どちらの言葉にしても「ポイント賞」という意味はあっても「スプリント賞」という意味合いはありません。
確かに、グランツールの中で最も有名な大会であるツール・ド・フランスにおいては、ゴール地点のポイントを平坦ステージで高くし山岳ステージで低くすることにより、ポイント賞をスプリンターのための賞にしていますが、それはツール・ド・フランス主催者の思想によるもの。
ジロ、ブエルタにおいては、平坦ステージも山岳ステージもゴール地点のポイントを同じにしていることから解るように、(総合賞が「到着『時間』の合計による賞」であるのに対して)「ポイント賞」にはあくまで「到着『順位』によって配分される得点の合計による賞」という意味合いしか存在せず、「ポイント賞」=「スプリント賞」という意図は最初から無いのです。(もちろん、今後ジロやブエルタがツール同様に平坦ステージのポイントを高くして「ポイント賞」をスプリンターのための賞にしてしまう可能性もない訳ではありませんが…)

にもかかわらず、あらゆるレースにおいて「ポイント賞」=「スプリント賞」なのだ、との偏見を持った人は、「何故ジロは厳しい上り坂の途中に『スプリントポイント』があるのか?」とか、「何故ブエルタでは『スプリント賞』の上位にスプリンターがいないのか?」という頓珍漢な疑問を発して、挙げ句には
「さすがイタリアンクオリティーww」
「さすがスペインクオリティーwwwプギャー」
等と言い出す訳です。

このような、偏見による自らの認識の歪みから生じた誤解を他者のせいにするような言動は慎まなければなりません。自分も気をつけなければ、とつくづく思う今宵なのでありました…。