Radfahrers Nachtlied

ドイツの自転車競技選手・アンドレアス・クレーデンを中心とした自転車ロードレースと、極々たま~にクラシック音楽やその他のテーマに関する雑文

ツール・ド・スイス第2区

さて、ツール・ド・スイス(以下スイス)絶賛開催中であります。毎年書いていることなんですか、我らがクレーディはツール・ド・フランス(以下ツール)を目標としている年は、スイスでは調整に徹し、TTはある程度力を入れて走るものの、山岳区間では無理をせず悠々と遅れて走り、総合争いには顔を出さないのが通例です。(唯一の例外は09年で、この年のみスイス、ツールの両方で総合上位に進出しています。スイスで総合2位となった08年は、所属していたアスタナがツールに呼ばれないことが確定していました。)
とはいえ、観ている方としては、日本でテレビ放送のあるレースでは活躍して欲しい訳で、09年のように、スイスでもツールでも頻繁に画面に映って欲しい、というのが素直な気持ちな訳です…。
でもって今年はどうなのだろう?と思っていましたが、案の定、最後の頂上ゴールの登りに入ってすぐ、悠々と(?)遅れてゆく姿が画面に一瞬映りました。終わってみれば区間成績は9分27秒遅れの89位。例年通りの調整スタイルのようです…。
まあ私は「スポーツ科学(?そんな名称の科学は無いか…?)」とやらの専門家ではないので、このような調整法が何故彼に合っているのはわかりません。(毎年スイスの直前にハミルトンのいう「BB」のために血を抜いているわけではないと思います。)
とはいえ、そのような調整法であってもTT区間では気合を入れた走りを見せるのもまた通例ですから、最終日の後半が平均9%弱の登りになっている山岳TTで良い走りを見せてくれるよう期待したいですね…。

さて、話は変わって、今日の第二区で区間優勝したオランダのMollemaについてですが、この選手の名前、一体どう発音するべきでしょうか?
私がかつて声楽を学ぶ過程で教わった所謂「舞台ドイツ語」では、例えばSommer(夏)は「ゾンメル」であると習うわけです。その後、日常的な発音では語尾の-erは母音化させるのが一般的だと知ると、Sommerは一般的には「ゾンマー」と発音するのか、と思うわけです。
ところが、「舞台ドイツ語」とは関係の無い世界で独語を習った人に言わせれば、ドイツ語やオランダ語のようなゲルマン系言語は、子音字が二つ連続していても長子音にはならない、つまりSommerは「ゾマー」なのだ、と言うわけです。実際、独和辞典を引くと、発音記号は長子音にはなっていません。
ですが、私にはテレビや映画でドイツ人の発音するSommerは長年の刷り込み(?)のせいか、「ゾマー」より「ゾンマー」に近く聞こえるんですよね…例えば、Marcel Kittelを「マルセル・キテル」と書いたらやっぱり違和感を感じざるを得ない。やっぱり「キッテル」じゃないですか?

というわけで、Mollemaは「ゲルマン系言語に長子音はない」という意見に従えば「モレマ」、Lの連続をあえて長子音として反映させれば「モッレマ」なんですが、どういう訳かJスポさんの公式スタートリストでは「モレッマ」になっている…
日本語ではラ行音の前に「っ」が来ることは稀です。なので、例えばCipollini(チポッリーニ)がどういうわけか「チッポリーニ」と表記され、サッカー選手のSchillaci(スキッラーチ)が「スキラッチ」と表記される。「ッ」をラ行音の前に置くことを本能的に避けようとして、前か後ろに移動させてしまうのですね。この結果生まれたのが「モレッマ」なる奇妙な表記で、Jスポ実況解説陣がお仕事上これに従う義務があるものだから(サッシャが「レオポルト・ケーニヒ」を無理に「コーニク」と言っているように)みんな「モレッマ」「モレッマ」と発音するのですが、これが視聴者には「モレンマ」に聞こえるらしく、ネット上では「モレンマ」なる表記が溢れている…

かくしてMollemaが「モレンマ(Molemma)」になってしまう奇妙な現象がここ数年続いており、わたくしはJスポのツール放送の祭のクイズに応募する祭は「ご意見」の欄に毎年のように「Mollemaはモレッマではなくモレマかモッレマと表記すべきです」と書いているのですが、一向に反映されません…。

今日の第2区の終了後、インタヴュアーが「モッレマ」と呼びかけていたのを聞いてほんの少しだけ溜飲を下げました…(表彰台のアナウンスは「モレマ」に近かったかな…)

細かいことにこだわると人生を不幸にする、ということは百も承知なのですが、私の悪い癖…
つまらないことを長々と書いてしまい申し訳ありません。